2階から旦那が叫ぶ声。
「;kokj@pj@p@atrepwupogak」
内容が聞き取れない。本当は聞き取れているけど、心がその内容を拒絶している。
書斎に近づくにつれ、かすかに聞こえてくる電子音は、心拍数をあらわすあの機械のように、一定間隔で鳴っている。
何が鳴っているのだろう。こわい。
最初に目に入ったのは床。

水浸しになっている。バケツを2つひっくり返したようだ。
そして複合機。どんな書類でもコピーし、紙として出力できるよう、商業用を購入した。

どこにいたの?ここ家の中よ?雨にあたったみたいなフリして。
やめてよ、そんな冗談。
パソコン。
「ごめん、ちょっと水浴びしてきちゃった。」
そんな明るいサーファーのような様子なのに、何も応えてくれない。

うそでしょ…、そんなに簡単に逝かないでよ。
いつまでも私にさわっていてほしいって、あなた言ってたじゃない。
ピ……ピ……ピ……ピ……
そして、ひたすら電子音を奏でているのは…電話機であった。。。
「生きてるの?」
「いや、こいつもさすがに…」
と旦那が持ち上げると、吐血したかのように電話機から水が流れ出た。
旦那がコンセントを抜くと、それきり電子音が鳴ることはなかった。
私は、雷雨が降り注いだであろう、網戸すら閉めていない全開の窓を、そっと仰ぎ見る。
どこからか鳴るはずもない電子音が聞こえてきた。
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー